有病者歯科治療
有病者が増加する中で
高齢化社会から高齢社会へ、そして今や超高齢化社会となった日本では、何らかの内科的な病気を持った高齢の方が急増しています。
院長が三井記念病院に在職していたころの統計では、有病率は男性に高く、インプラント治療を希望する患者様のほぼ60%が有病者でした。
また、検診制度の普及と生活習慣病の増加、さらに医学・医療の進歩による救命なども、いわゆる有病者増加の要因と考えられます。
糖尿病や高血圧症のように診断基準がより厳しく改定されたことによって、今まで健康とされていた方が有病者と診断されるケースも増えています。
当然の結果として、こうした有病者が歯科を訪れる機会が増えているのが現状です。
有病の患者様に対する歯科治療、特に麻酔を必要とする処置(歯を削ったり、神経をとったりする治療)や抜歯などの外科的処置、さらに近年盛んになっているインプラント外科に際しては、ごくまれなこととはいえ、偶発症をおこす危険性は否定できません。
こういったことを避けるために、まず患者様に病気の成り立ちや経過、現在のお体の調子などを事前にお聞きする必要があります。
次にもっとも大切なことは、かかりつけ医との情報連携によって、病気の種類や重症度、現在服用している薬などを把握することが不可欠です。
内科的な病気を持っている人へも歯科治療を
ひと昔前ですと、内科的な病気をお持ちの患者様に対しての歯科治療、特に麻酔を必要とするような治療は危険を伴うため、必要最小限の治療にとどめる場合が一般的でした。しかし、最近ではむしろ積極的に治療する方向に変わってきています。
その理由として、医療機器や技術的進歩(監視モニターなどの開発)によって、従来よりもリスクを抑えて治療ができるようになったことが挙げられます。
一方、有病者に対するQOL(quality of lifeクオリティー・オブ・ライフの略。自分らしく人間らしい生き方)の向上や、歯科疾患と全身的な基礎疾患との関連(嚥下(えんげ)性肺炎、心内膜炎、糖尿病など)が解明されつつあること、また咬合(かみ合わせ)と全身との関連も指摘されつつあり、患者様のニーズが高まってきたことも大きな要因です。
このような背景に呼応して、歯科医療機関の機能分化(一般診療所と大手病院との連携)と、これに伴う保険制度の改正もなされる時代になりました。
当院では、こういった時代の要請に応えるべく、血圧、脈拍、心電図、SPO2をモニタリングするマルチチャンネルの生体情報モニター(OPV-1510日本光電社株式会社製)、酸素吸入器、自動体外式除細動器(AED)、救急薬などを常備しており、万が一の事態に備えた医療体制を築いています。
さらに、院長は日本救急学会認定のICLSコースを修了しております。